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ダイナミック 2005/05/09

オランダは17世紀、「オランダ黄金時代」と呼ばれるこの期に世界2大肖像画家とも呼べる画家を輩出している。一人は夜警(→画像)で有名なレンブラントで誰もが知る名前であるが、もう一人のフランスハルスは意外と知られていない名前かもしれない。

レンブラントの絵画は頭の中でなんとなく思い浮かぶ人も多いだろう。独特の荒々しい筆使いで描かれ、絵画の全体の印象として暗がりの中に被写体がぼんやりと浮かび上がるような印象を受ける。

フランスハルスはレンブラントと同じ17世紀黄金時代、商業&芸術の中心であったハーレムで活躍。ハルスの作品にもレンブラントの作品に見られたような荒々しい筆使いが見られる。むしろ作品によってはレンブラントの筆使いよりも荒々しいものである。またハルスの筆使いや構成からはなんとも言えない躍動感が生まれ、一度みたら脳裏に焼きつきはなれない印象的な作風である。

ハルスの代表作に「The Laughing Cavalier(1624)」がある。パっとみると普通によく描かれた肖像がであるが、よくみると衣装の装飾部分とは対極的に黒いマントの部分(?が実に荒々しく、まさに数筆で仕上げられているのがわかる。モデルは斜め45度の位置から描かれ、こちらを見下ろしているかのようである。構成を見ると肩が斜めに配置され被ったハットも不自然なまでに斜めに描かれ、また正面張り出した腕が作るラインも斜めに描かれている。

この作品から被写体の品格や力強さを感じるのはこの筆のタッチや構成が生み出したものであろう。
ちなみに余談であるが、この絵画のタイトル「Laughing Cavalier」、直訳すれば笑う紳士といったところだろうか。でも実はこのモデルは笑っていないのだ。ツンと上に向いた髭によって笑っているかのような錯覚をを受けてしまう。

オランダは地図で見ると実に小さい国で、地理的にもイギリス、フランス、ドイツなどの大国に囲まれさほど強い国でもない。だがヨーロッパ美術を語るに当たっては不可欠な国である。実際にオランダを訪れてみると、この小さな国がこれほどまでに多くの画家を生み出していることに驚くだろう。
印象派ではゴッホなどが有名であるし、それ以降の近代美術においては新しい芸術運動を起こすなど重要なポジションを担ってきた。

なぜオランダのようなヨーロッパの中堅国が一目置かれているか。これはオランダが常に先進的であった結果であろう。無論そうでもしないと注目されないということもあるが。ワークシェアリングが日本で騒がれ始めた時代、オランダはモデルとされた。安楽死・尊厳死の議論がされるときにもオランダの名前は必ず登場する。国家として同性愛者の結婚を認めたのもオランダが初めてだった。それらの良し悪しは置いておいて新しいから意味がある。

話が色んな方向に飛んだが、フランスハルスのダイナミックな筆使いや構成、オランダの国としてのカラーや姿勢…この国からは学ぶことが沢山あるなと思った。


ちなみに、フランスハルスが住んだハーレムの家は現在はフランスハルス美術館となっていて、誰かオランダを訪れる時には是非薦めたい観光地である。アムステルダムから電車で30分弱。是非どうぞ。

posted by Takuro